2021年3月11日木曜日

2021年度「ジェンダーの変容 Ⅰ」

曜日・時限:火 2

単位:2(半期)
 
キャンパス: 三田

担当教員:宇沢 美子 / 岡原 正幸 / 粂川 麻里生 / 川畑 秀明 / 佐川 徹 / 加藤 有佳織

設置課程・学部:学士 / 文学部

テキスト・参考書:ウェブサイトで指示する。

概要:
    文学部の専攻をまたぎつつ、総合的な知の動員によって、一つのテーマの多様な側面や多次元性、あるいはアプローチの多種多彩さを受講者に提供する総合講座として、1994年以来設置されてきたものであり、文学部が提供する学問の面白さを存分に表現し、またアカデミズムとは異なる現場の知を提供するものとして、このシリーズは四半世紀におよぶ歴史をもち、もはや文学部総合講座の古典ともいえよう。この歴史と伝統を継承するのが、本総合講座である。

授業科目の内容・目的・方法・到達目標
    日本社会は、「ジェンダーフリー」や「ジェンダーバランス」の意識が、先進国の中でもひどく遅れていると言われる。たしかに、いまだに企業における女性管理職の割合は低く、国会議員や大臣の中で女性が占める割合に至っては、ほんの申し訳にさえならない状況である。また、いわゆるセクシャルハラスメントに悩む女性も多く、様々な場所で男性と同席したがらない女性もむしろ増加している。慶應義塾においても、昨年度においてだけでも、教員、事務職員、学生がそれぞれ性的な犯罪によって逮捕されるという破廉恥事が立て続けに起きている。「男女共同参画」が現代社会の発展の必須の要素であるとされて久しいが、「日本社会の先導者」、「気品の泉源」たらんとする学塾がこの有様なのはなぜか。いわゆる「男女」というジェンダーに留まらず、さまざまな「性」を持つ人々がともに参加し、幸福になりうる社会像を描くために、全塾の学生に開かれた講座を開き、ともに考える場としたい。
    「性」の問題は多様かつ複雑である。本講座にも多方面の有識者を招き、「多様な“性”が幸福に共生する社会」をイメージ豊かに構想し、そこに自らも肯定的かつ解放的な心情をもって参画していくには何が必要なのかをさまざまな観点から講義していただく。コーディネーターとなる担当教員たちは、それぞれ文学、社会学、人類学の立場から、上述のテーマにアプローチする。さらに、ジャーナリスト、NPO運営者、作家、芸術家、また社会の各領域で「性のバリア」と戦ってきた人たちを講師として招く。LGBTsという言葉で一括りにされる性的マイノリティの人々の生活についても報告をしていただき、具体的な事例を他角度から知ることで学生たちの視野と感性を広げてゆきたい。本講座は、学生たちが自分自身の感性を見つめ直す機会となることも重要であるから、ディスカッションをする時間も大切にしていきたい。
(2021年度 講義要綱 より)