2006年9月19日火曜日

『情の技法』刊行

2005-2006年度総合講座の成果を収めた論集『情の技法』が刊行されました。


情の技法
:坂本光・坂上貴之・宮坂敬造・岡田光弘・巽孝之
判型:A5
頁数:458
出版慶應義塾大学出版会
刊行:2006/09
定価:4410円(本体 4200円+税)
慶應義塾大学出版会による本書詳細

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。(夏目漱石『草枕』)

情動、感情、情念、情緒——。われわれは、〈知〉識のように〈情〉識を身に付けるこのができるのだろうか?「知」の魔窟=文学部総合講座に迎え入れられた多彩な講師陣が、「情」の構造とその「技法」を説く。

【目次】
はじめに(坂本光)
第一部 <情>の構図
1:反知識人とは何か——ひとつのアメリカ的伝統(巽孝之)
2:反感情移入の陥穽——クリストフ・マルターラーの『ヨーロッパ人をやっつけろ!』
  における観客の自己欺瞞(平田栄一朗)
3:「本当の自分」の政治学——公と私における情の技法(岡原正幸)
4:「甘え」概念について(土居健郎/プレゼンター:巽孝之)
5:音楽における時間、構造、および情緒について(ジョセフ・ゴーギャン/良子・ゴ
  ーギャン)
6:情行為試論——悲しいから泣くのではない。環境事象があるから泣き、悲しむので
  ある。(坂上貴之)
第二部 <情>を読み解く
7:世論操作と「情」(川上和久)
8:情の建築——戦争・記念碑・癒し・忘却(生井英考)
9:情の技法のもつれ——アメリカの創作科と文学批評(吉田恭子)
10:国文学作品における情(石川透)
11:女性たちは愛をどのように生きたか——近代フランスに則して(小倉孝誠)
12:ストウ夫人のメロドラマ——『キリスト教徒の奴隷』(一八五五)にみる〈情の技
  法〉(常山菜穂子)
13:恋のベストセラー——E・M・ハルの『シーク』を中心に(河内恵子)
第三部 <情>を使う
14:花柳界の粋——“もてなしの芸”に見る芸者の情と心意気(浅原須美)
15:舞踊における怪物的身体(石黒節子)
16:クラシック歌曲におけるアート・オヴ・パッション(情の技法)(ボニー・ホーク)
17:血と蜜——作詞と歌における情について(宝野アリカ)
18:ロボットを創ることとは?(藤田善弘、長田純一)
19:ニコラ・テスラと発明の世紀——魔術師たちの時代の終焉(新戸雅章)
20:フィクションに生きる——女優・吉行和子による情の技法(吉行和子/聞き手:宮
  坂敬造)
編集後記(坂上貴之)